062:筆跡
「近藤さん、これ書き直し」
今しがた近藤がサインをしたばかりの書類をチェックしていた土方は、それをすぐに近藤の前へと突き返した。
「えーなんでェ」
「なんでじゃねえよ。ちったァ読める字を書いてくれ」
「読めるだろォ!」
「読めねェよ。読めるとしたらゴリラくらいじゃねーの」
「ひっ、ひどいトシくん……!」
おいおいと泣きはじめる(むろん泣き真似にすぎない)近藤に土方は嘘だよと苦笑する。
「俺にしか読めない字を書いても仕方ねえだろ」
「……つまりトシ、おまえもゴ」
「っざけんな」
最後まで言わせず、近藤の顔面に書類を押しつけた。
06.10.11