025:左手の優しさ
 負傷のために包帯でぐるぐる巻きにされた右手を見やって、土方は嘆息した。 不自由があったら俺に言うんだぞと頼もしく胸を張る近藤に頷き返して、土方も真摯に言い返す。
「大丈夫だぞ近藤さん、おれ、右手使えない分左手で頑張るからな!」
「おお! そうしてく、れ……?」
 一体なんのことかと首をかしげる近藤に、土方は婀娜のある笑みを浮かべてみせた。
「左手だけじゃ物足りなかったら、口、もあるしな」


06.07.10