009:無条件
「トシくん、モテる男の条件ってなんだと思う」
近藤が至極真面目な顔を向けてくるので、何を言われるのかと思わず身体を強張らせた土方は、続けられた言葉にがくりと肩を落とした。
「……また、ふられたのか」
紫煙を吐き出すふりをして、一緒にため息も零してしまう。「また」を強調して言ったのには断じて他意はない――はず、だ。
くだらねェな。思いながらも近藤に面と向かって言うのは憚れて、土方は誤魔化すようにフィルターを噛みつけた。
近藤はといえば、ひどく難解な問題を解いているみたいに、凛々しい眉をきっとひそめて考え込んでいる。
その姿を見て土方は、うっすら口許を緩めた。
「そんなモンなくたって、アンタを好きになるヤツはちゃんといるさ」
土方の言葉に、しかし近藤はあまり納得のいかない顔をして、「そうかァ……?」と首をひねる。
土方はそうそう、と頷いて、無理やりにその話題を終わらせた。
――まったく、くだらねェな。俺は、アンタだから惚れたんだよ。
言う代わりに、土方はゆっくりと煙草の煙を肺に送り込んだ。
06.06.21